太陽のパスタ、豆のスープ
タイトル:太陽のパスタ、豆のスープ
著者:宮下奈都
集英社文庫
なんともお腹の空くタイトルですよね。
ヴィレッ○ヴァンガードの一角で特集を組まれていたのがきっかけで出会いました。
“もしも大事な話を――それもよくない話を――されるなら、食事の前がいいか、後がいいか。”
そんな切り出しで、式を目前に婚約解消されてしまった主人公・明日羽(あすわ)。
生きる気力を失った彼女に叔母・ロッカさんは、「やりたいこと・楽しそうなこと・ほしいもの」を全部書き並べた明日へのリスト、「ドリフターズ・リスト」の作成を提案する。(ドリフターズ=漂流者の意)
自由奔放に生きるロッカさんに促されるまま、不承不承リストを作成した明日羽は、リストを一つずつ消化しながら自身と向き合うことで、少しずつではあるが確実に。強く、しなやかに、前へ進んでゆく。そんな女性の姿を描いた物語。
その上、豆のスープが食べたくなる本です。
本編中盤あたりから、「青空マーケット」なるフリーマーケットに行くのですが、そこに明日羽の職場の同僚・郁ちゃんが豆スープの店で出店しており、それ以降 豆スープがちょくちょく登場するんですね。
豆のスープって、思えば意識して食べようと、作ろうとしない限り、あまり口にすることがないんじゃないかな。
でも、たまに食べるとホッ、とする、まあるくてまろやかでほっこりした食物。
いいですよね、豆(感化され過ぎである)。
リストと人と豆が、きっと彼女の人生を救うのだ。
落ち込んだ時や迷走している時、元気を貰いたい時に読み返す本の一冊です。