キノの旅 the Beautiful World
タイトル:キノの旅 the Beautiful world (電撃文庫 し 8-1)
著者:時雨沢恵一
イラスト:黒星紅白
電撃文庫
世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい。
― The world is not beautiful. therefore, it is. ― (本編扉より引用)
主人公・キノと、その相棒で人の言葉を話すモトラド(二輪車)・エルメスの旅物語。
1巻発売当時に一度読んだことがありましたが、久しぶりに読みたくなって買い直しました。
前に読んだ「食堂かたつむり」からは、「エルメス」繋がりですね、なんて。
ずいぶん昔に出た本でアニメ化もされているので、このシリーズのファンも多いんじゃないでしょうか。過去に読んだ時は頭に入って来づらかったような覚えが薄らぼんやりと残っています。
なんと、15年も前の作品(初版発行日が2000年7月)なんですね。
キノとエルメスが時折夫婦漫才のようなボケツッコミをしながら様々な国を旅する話は、自身が一人旅をするようになった今――といっても日本国内ですが――こんな相棒がたまにいたら、また違った楽しみが生まれそうで羨ましくなりました。同世代の旅人って、本当になかなか出会えないもので。
全てを多数決で決める国だったり、訪れた旅人を問答無用でコロシアムに参加させる国に行きついてしまったり、進歩しすぎた技術で逆に生きづらくなってしまった国があったり、他人の不幸の上に成り立っている平和な国だったり・・・
第三話「レール上の三人の男」のもにょる感じが好きです。
『一つの国には3日まで』ルールの元に進む旅路は、旅の目的がまだ明確に示されていないので、風の吹くまま気の向くまま。行き当たりばったり、誰か・何かとのご縁で行く先を決めているのかな。1話ごとに訪れる国や場所が異なる、短編読み切り形式のお話です。
普段かっちりした小説を読む方にとっては物足りなさを感じる内容かもしれません。
「少し上の世代を意識した児童文学」といった雰囲気のお話でしょうか。
なんだろう、この感じは。
優しいようで優しくない。
読んだ後に軽い溜息が漏れる読後感が、嫌いじゃあないんだ。
キノの旅 The beautiful world (電撃文庫 し 8-1)
- 作者: 時雨沢恵一,黒星紅白
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2000/07/25
- メディア: 文庫
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